日程: | 2012年03月18日(日) |
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時間: | 15:45-17:30 |
料金: | 無料 |
備考: | 定員80名 |
会場: | 1F コミュニティスペース |
2011年3月11日に起こった東日本大震災という未曾有の経験は、その被害もさることながら、われわれが忘れていたさまざまな問いや課題を浮かび上がらせました。
抗いがたい大きな力を持つ自然に対して、立ち向かうのか? 寄り添うのか?
真に豊かな社会・生活とは? そして今、私たちが大切にすべきものとは何でしょうか。
こうした根源的な問いに対する もうひとつの価値や考え方を気づかせてくれたのは、
絶望をエネルギーに変え、復興に向けて創造力をもって活動する人たちの姿でした。
その活動は1年を経て、さまざまな形に変化しています。
震災直後の、生きることの境界線を必死に守る活動から、
人のつながりを広げ、新しい明日へ向かう活動に展開しています。
この日、自分たちの町に息づく文化を大切にしながら
次の世代へつなげようと活動する東北の復興リーダーたちを3331 Arts Chiyodaに招き、
この1年を振り返り、明日を考えるトークセッションを行います。
[トークゲスト]
■及川文男(おいかわ・ふみお/合同会社顔晴れ塩竈、宮城県塩竈市)
塩竈にある御釜神社には、製塩法を伝えたとされる鹽土老翁神が祀られ、古代の製塩の神事も行なわれている。「顔晴(*ルビ:がんば)れ塩竈」は、そんな"塩づくりの聖地"である塩竈をアピールすべく、昔からの製法で塩づくりを行なう合同会社だ。震災後、工房は神棚と竈を残すのみとなってしまったが、いちはやく活動を再開。元々塩を核とした食文化が根付いており、お菓子のなかに塩を入れたり、お寿司屋さんがネタの上に塩を乗せたりする。近年は洋菓子屋さんのスイーツのなかにまで入れるようだ。そうした独自の食文化を大切にしながら、地域の宝をアピールし、伝統的な塩づくりを後世に残すための"塩のミュージアム"を構想している。
■佐藤明徳(さとう・あきなり/山田八幡宮・大杉神社、岩手県山田町)
山田湾を一望できる高台にある山田八幡宮と、海から150mほどの場所にあった大杉神社。このふたつの神社からなる『山田祭り』は町内最大のお祭り。山田町の人々は、子どもの頃からお囃子を聞き、神輿を担ぐ大人たちを見て育ったため"祭り好き"のDNAが刻み込まれている。なにしろ、お盆の時期よりも9月のお祭りの時期に合わせて帰省する人も多いほどお祭りが好きなのだ。しかし、地震と大津波で大杉神社は壊滅。神輿や郷土芸能の道具もすべて津波に流された。この町で引き継がれてきた郷土芸能を絶やさないため、また震災によって町から離れた人と賑わいを取り戻すために、山田祭りの復活が望まれている。
■鈴木大介(すずき・だいすけ/株式会社鈴木酒造店、福島県双葉郡浪江町・山形県長井市)
江戸時代末期に酒蔵を構え、 "日本一海に近い酒蔵" として漁師たちとともに歩み、愛され続けてきた鈴木酒造店。3 月 11 日は、蔵人(酒造りの職人)の労をねぎらう「甑倒し(こしきだおし)」の日だった。地震と大津波によって蔵元は流され、福島第一原発から約6キロ地点にある酒蔵への立ち入りは現在も制限されている。それでも鈴木さんは地酒「磐城壽(いわきことぶき)」の看板を掲げるために再建へと動き出した。まずは会津若松市の試験場に預けていた酒母が残っていたため、南会津町で酒造りを再開。そして2011年8月、後継者がいないため廃業することになった山形県の酒蔵・東洋酒造にめぐり会う。県外に出ることを悩みながらも「浪江の酒をつくってくれ」という地元の人たちに後押しされ、山形県で蔵を構えることを決意する。同時に東洋酒造の酒「一生幸福」も受け継ぎ、"いつか浪江に帰る"と強い想いを抱きながらふたつの酒を造りはじめた。
■芳賀正彦(はが・まさひこ/特定非営利活動法人吉里吉里国、岩手県大槌町吉里吉里)
津波により町の3分の2が瓦礫と化してしまった吉里吉里。震災から約2ヵ月後の2011年5月15日、避難所での焚火をきっかけに、瓦礫から薪をつくり販売する『復活の薪』プロジェクトがスタートする。多くの人が職を失ったこの町で、『復活の薪』は貴重な収入源と雇用を生み出した。やがて瓦礫の撤去は進み、手に入る廃材がなくなったため、9月30日に『復活の薪』は終了。プロジェクト開始当初からこのことを見越していた芳賀さんは、6月から毎月森林整備の技術を習得する『吉里吉里国林業大学校』を開始。現在は、自然豊かな吉里吉里の未来を見据えて本格的な森林整備を行い、間伐材や薪を販売する『復活の森』プロジェクトがはじまっている。
[モデレーター]
■中村政人(なかむら・まさと/3331 Arts chiyoda統括ディレクター、わわプロジェクト・ディレクター)アーティスト。東京藝術大学准教授。1963年、秋田県生まれ。「美術と社会」「美術と教育」との関わりをテーマにアート・プロジェクトを展開。「第49回ヴェネツィア・ビエンナーレ」日本代表(2002年)。1998年よりアーティストイニシアティブコマンドNを主宰。秋田県や富山県などでもプロジェクトを展開中。2010年3月よりアーティスト主導、民設民営のアートセンター「3331 Arts Chiyoda」を立ち上げ、統括ディレクターを務めている。
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